田中慎弥さん、悪カワイイ! | 13:32 |
『共喰い』で第146回芥川龍之介賞を受賞した田中慎弥さん、すっかり話題になっている例の記者会見を見たけど、ああ、この人、私は好きだなと思った。ご本人からしたら、きっと記者会見ではなく、作品を読んでから好き嫌いを言ってほしいんだろうけれどね。
何といってもうれしさがにじみ出ていた記者会見だった。かわいいくらいにね。きっと、ああしてないとうれし涙が込み上げそうで怖かったんじゃないだろうか。大人げない対応だとかと悪く言う人もいるけれど、私は全然そうは思わなかったな。第37回新潮新人賞、第34回川端康成文学賞、第21回三島由紀夫賞を受賞している彼だもの、あんなふうに言えてしまうことに羨望すら感じる。それに、内実はとってもピュアな人なんだということもよくわかったよ。
自分のことを振り返ってみると、年を重ねれば重ねるほど、なるべく誰からも嫌われないように慎重に言動を選ぶようになってきたように思う。まだまだ失敗もあるけどね。それは、常識をわきまえるようになったからとかそんなご大層な理由からじゃなくて、結局、そのほうがラクチンだと学んでしまったからだ。ひとたび誤解なんかされようものなら、それを自力で払拭するのは不可能に近いんだもの。そんなケツの穴が小さい私だから、彼の記者会見にすっかり見とれてしまった。
それに、リスペクトすべきは彼のお母さんだ。きっと働かない息子とともに暮らす負い目を感じていた時期もあったんだと思う。それでも、自分が産んだ息子だからという理由だけですべてを受け入れてあげたからこそ彼の作品は生まれてきた。やっぱり母の力は偉大だよ。遊びの中からイノベーションが生まれ、ニートの中から文学が生まれ、アウトサイダーの中から変革が生まれるとしたら、これってすごくわくわくするよね。
でも、私は根性なしだから、田中さんのように奔放になれそうにないし、田中さんのお母さんみたいに性根を据えて子育てできるかも自信がない。彼の本でも読んで修行しよっと=3