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同じ言葉をあやつっていても、自分の気持ちが伝わらないことがある。まして、真剣に訴えても取り合ってもらえないとなれば、それは絶望を意味しているのだろう。今回のPC遠隔操作で明らかになった冤罪。誤認逮捕された人たちの心中を思うとやりきれない気持ちになった。
それでも、検察や警察だけが加害者になるわけではなく、私たちだっていとも簡単に同じような間違いを犯してしまうことを忘れてはいけないんだ。自分の中の確証バイアスってやつは本当に厄介だと思う。見ようとしなければ何も見えないし、聞こうとしなければ何も聞こえない。
日本は、一度転落したら、再チャレンジが困難な国だといわれているけれど、立ち上がろうとしている人に手を差し伸べることができる人が神様のほかにいるとしたら、それは一般人の私たちしかいない。真実を見る目を養う努力をしなければならないなって思う。そうでなければ、自分が当事者になったときにあまりにつらすぎる。
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今春、福島では、セシウムがたまりやすい表皮をはがされて、真っ白な姿をさらしている果樹が立ち並んでいた。痛々しかった。同時に、それまで県産野菜を避けていた自分は何を見ていたのだろうと恥ずかしい気持ちにもなった。これほどまでの努力をして安全なものを届けようとしても、そして、それが実際に安全だと確認されても、いまだその真摯な気持ちが伝わらない。誤認逮捕された人たちの悔しさは、もしかするとそのまま福島の農家さんの悔しさなのかもしれない。
