KOTOBAYA 雑記帳

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格差の国の物語 17:41
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    ある国に、ちょっと残念な王様がいました。王様は、どうやったら国民に立派な王様だと思われるのか考えました。自分の力では、すべての国民を幸せにできないとわかっていたからです。王様はひらめきました。国民をAとBに区別して、まずはA民のことを幸せにしようと思ったのです。そうすれば、国民の半分は私のことを尊敬するだろう、王様は自分の考えに満足して大きくうなずきました。


    そこで、王様は人々を2つに分けました。国土全体に網をかけ、その網の上に乗った者をA民、網から落ちてしまった者をB民にしたのです。王様の家族や友達が住む場所の網の目は細かく、王様がいる場所から離れれば離れるほど網の目を粗くしましたが、そのことは誰にも知らされませんでした。


    ある者は難なく網の上に乗ることができましたが、ある者はいとも簡単に網から落ちてしまいました。中には、隣の人に蹴落とされた者、病気をしていてはい上がることができなかった者、幼い子どもを抱いていたので網にしがみつくことができない者もいました。


    王様はA民のための法律をつくりました。なぜなら、自分のことを好きになってほしかったからです。A民はどんどん豊かになっていき、みんな王様のことを好きになりました。しかし、B民のことは王様の興味の外にあったので、人々が貧しい暮らしをしていることに気づくことはありませんでした。でも、B民は黙っていました。A民のための仕事をして、A民からお金をもらって生活していたからです。


    あるとき、王様は新しい法律をつくりました。A民はみんな働きすぎである。もっと休暇をとらせてやろう。もちろん、休んでいる間も給料は支払うぞ。A民はみんな賛成しました。勇気あるB民の若者が言いました。「王様、私たちが休みをとっている間、A民の皆さんはお金を払ってくれません。どうしたらいいのでしょうか」。王様は言いました。「それは残念だったね」と。


    あるとき、王様はまた新しい法律をつくりました。A民であれば、子どもが小さいうちはずっと仕事を休んでいいことにしよう。もちろん、その間の給料は支払うぞ。A民はみんな賛成しました。勇気あるB民の女性が言いました。「王様、私が子どもを育てている間、A民の皆さんはお金を払ってくれません。どうしたらいいのでしょうか」。王様は言いました。「それは残念だったね」と。


    あるとき、王様はまたまた新しい法律をつくりました。みんな健康で寿命が延びた。A民であれば年を取っても好きなだけ働けるようにしよう。なあに、B民に頼んでいた仕事を老人がすればよいのだ。A民はみんな賛成しました。勇気あるB民の老人が言いました。「王様、私たちは若いうちから仕事がなくなりました。これ以上仕事がなくなれば、年寄りはおろか若者も生活できなくなってしいまいます。どうしたらいいのでしょうか」。王様は言いました。「それは残念だったね」と。


    こうしてこの国は世界に誇れる豊かな国になり、王様は世界中の人々(ただし自国のB民を除く)から尊敬されました。(この物語はフィクションです)

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